「ハードディスク」とは、表面に磁性体(磁力でデータを記録できる薄い膜)を塗った円盤(ディスク)のことです。ディスクを高速回転させ、磁力でデータを読み書きできる部品(磁気ヘッド)を動かす装置全体を「HDD(Hard Disk Drive:ハードディスクドライブ)」と呼びます。
関連用語ドライブ
高速回転するハードディスク
「ハードディスク」を内蔵したパソコンに電源を入れると不定期に「カリカリ…」という音がしますが、あれが「ハードディスク」からデータを読み出している動作音です。パソコンを起動したあとも、作業の節目にデータを保存したり取り出すたびにあの音が聞こえるはずです。
仕組みとしては高速で回転させたディスクの表面すれすれを、先端に磁力の方向を自由に変えられる電磁石「磁気ヘッド」をつけたアーム(腕状の細長い棒)を素早く移動させ、ヘッドの磁力で情報の書き込み、読み取り、消去をしています。そして、このアームが素早く動く音が「カリカリ…」なのです。
ディスクの回転数は1分間に 5,400回、7,200回、1万回などの製品があり、基本的には回転数が多いほど高速に読み書きできますが、値段も高くなります。
もっと「しくみ」が知りたい方は、少し古いですが「情報機器と情報社会のしくみ素材集」というサイトに「HDDのしくみ」がイラストで紹介されているので参考にしてみてください。
動作中は外部から振動を与えない
「レコード盤」と「針」の関係に似ていますが、違う点は「ハードディスク」に「磁気ヘッド」は触れていない、というかほんの僅か(0.01μm程度)浮かせています。μm(マイクロメートル)は mm(ミリメートル)の1,000分の1です。
浮かせている分、高速な読み書きが可能ですが、高速回転しているディスクのギリギリで激しく動くため、外部からの振動でディスクやヘッドが傷付き、故障して記録したデータが再生できなくなる可能性もあるデリケートな装置です。
そのため「ハードディスク」を搭載したパソコンは、作業中に動かしたり強い振動を与えたりしないように気をつける必要があります。
正式にはハードディスクドライブ
「ハードディスク」のことを短く「HDD」と書くことがあります。これは「Hard Disk Drive」の略語なのですが「ドライブ」はどこへいったのでしょう?
そもそも「ドライブ」は「動かすもの(駆動装置)」を意味しますが、「ハードディスク」は「ドライブ」と一体でディスクだけを取り出すことはできません、そのため「ハードディスク」と呼べばディスク単体ではなく「ドライブも含めて」と認識できるので「ハードディスク」=「HDD」が成り立っているのです。
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「SSD」に置き換わる運命?
最近のパソコンには「ハードディスク」の代わりに半導体を使った記憶装置「SSD」が搭載されているモデルが増えました。「SSD」には動く部分がないので外部からの振動にも強く、データを読み書きする速度も「ハードディスク」より速いためです。
それでも現状はまだ「ハードディスク」のほうが「SSD」よりも容量当たりの値段が安いこともあり、安価なマシンや大容量の記憶装置が必要な場合は「ハードディスク」が採用されていますが、普及につれて「SSD」の値段も下がってきているため、着実に置き換えは進んでいます。
関連用語SSD
最近では Windows を起動させる「Cドライブ」を高価でも高速な「SSD」にして、データを保存する「Dドライブ」を大容量でも安価な「HDD」にする機種もあります。